加齢型認知症とIT型認知症
脳ドッグでは問題ないのに“不健康脳”な人
最新の枝ぶり脳画像法を発見してから、さらに研究を進めると、脳に病気がなくても「不健康な脳」の人が多くいるということに気が付きました。
何歳からでも脳は鍛えられ、成長し続けている「健康な脳」になれる一方で、脳が使われず成長していなければ「不健康脳」になるとわかってきました。成長しない脳は、老化するしかないからです。
成長していないということは不健康そのものと言えます。
脳ドッグで検査して、従来のように、「脳に病気がなく健康です」と医師にいわれて安心してはいけないことを意味しています。「私は定期的に健康診断を受けていて、脳ドッグもしっかりやっているから大丈夫だ」と感じている方もいるかもしれません。
しかし、残念なことに多くの脳ドッグで調べているのは脳腫瘍や脳の血管障害などの病気の有無であり「脳がどれだけ元気なのか」ということを調べるものではない、ということです。「脳に問題はありません」という診断がそのまま、「あなたの脳はきちんと成長している元気な状態です」とはならないのです。
(「日本人が最強の脳をもっている(幻冬舎)」より引用)
加齢型認知症とは
今、日本は急速に高齢化社会を迎えています。1963年には153人だった全国で100歳以上の超高齢者の数は、ついに6万人を超えました。50年前に比べて約400倍です。
人類としても、いまだかつて経験したことがない、ということです。未経験の出来事に今、私たちは遭遇しています。
肉体が老化するのと同時に、脳も年齢を重ねることで老化します。それは、最終的には避けようがありません。
認知症の中には、アルツハイマー型認知症、脳血管型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など様々な種類のものがあります。中でも代表的症状が、アルツハイマー型認知症で全体の約60%を占めています。
加齢に伴って増加する認知症の約6割はアルツハイマー型認知症です。記憶を司る海馬や高度な認知機能を司る大脳皮質の萎縮を引き起こし、すぐに忘れる、出来事が思い出せない等主に記憶に関わる機能低下が起こります。
加齢型認知症とは、年齢に伴って脳の老化が原因で、記憶力や判断力など様々な認知機能が低下してくる疾患です。
- 主な症状
- ・出来事が思い出せない
・今いる場所が分からなくなる
・時間感覚がなくなる
・会話がかみ合わない
・気分が落ち込み、やる気が出ない など
IT型認知症とは
従来、認知症と言えば、加齢に伴い記憶力や認知機能低下を引き起こす症状の事が言われてきました。
しかし近年、10代〜40代の若い方々でも、認知症同様の症状に悩まされ、脳画像診断を受けに来られる方が増えてきました。
私はMRIで脳を見続けて、従来言われてきた加齢による認知症(命名:加齢型認知症)とは全くことなる症候群を見つけました。それが、IT生活などで、偏った脳の使い方の結果引き起こされる「IT型認知症」です。
IT漬けのヘビーユーザーは、分かっていたはずの漢字が書けなくなったり、時間を忘れて画面にくぎづけになりその場から動かない経験があるとおもいます。これは、「不健康脳」の兆候です。
しばらく、旅行や出張でパソコンを開いていないと意外に自分で考えてテキパキ行動できる自分に気づくことがあります。しかし、どっぶりとITに依存した生活が続けば、「不健康脳」が、その人の脳の個性となり、「IT型認知症」になります。
つまり、脳が思ったように働かないために、記憶力が低下したり、うつ気味になったり、コミュニケーション能力が阻害されたり、注意散漫になったり、問題解決能力が知識の量に比べて著しく低かったり、切れやすいなどの症状が固定した能力になります。
IT型認知症は、年齢に関わらず、スマホやパソコンの過度な使用や依存した生活により、脳の使い方に偏りが生じ、その結果、認知機能の低下が引き起こされる認知症のことです。
- 主な症状
- ・分かっていたはずの漢字が書けなくなる
・集中が続かず、注意散漫になる
・切れやすい
・問題解決能力が知識の量に比べ著しく低い
・うつ気味になる
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